神々の山嶺

『神々の山嶺』

夢枕獏さんの小説です。
20歳代だったか?のときに話題となった作品で、その頃に読みました。

あれから20年。
今年は阿部寛さんと岡田准一さんのキャストで映画公開されます。

映画です

エベレストの現地ロケもあり、早くも話題となっています。

若狭坊は、先週に文庫版の漫画を買って読み直し。
ただいま風呂読書の楽しみとなっています。

マンガです

ストーリー全体は実にシンプルで。

ヨーロッパから派生した競技登山の流れを汲み
日本を代表するクライマーとなった羽生さんが、さまざまな葛藤の中、
前人未到の「山の征服」に挑み続けるというもの。

「なぜ山に登るのか?」に迫ろうとしている作品です。

若狭坊はこれまでのブログの中で、西洋的競技登山と
日本の「神と仏」が一体となる登山は違うとしてきました。

一神教で、他を認めず排除して、競い争う西洋と
多神教で、自然にいる八百万神を感得し、理解と寛容「和」をもって共生する日本。

その象徴を登山と山伏に見てきた。

が・・・どうなんだろう??
改めてそんな単純ではないな!と思った。

本当に西洋登山は、山を征服するという視点だけだったのだろうか?
先を争っただけだったのだろうか?
何よりも、先に登るということから、新しく見えてくるものを望んだのではないだろうか。

西洋的なものであれば、「自己利益の目的」であり、征服の危険連鎖が始まり、いつかは命を落とす。
日本の考えであれば、山で神仏を感得しながら、生活にフィードバックさせていく。
人生につながっていく。

この作品で羽生と山を共にしたものは、
山を引退して社会に貢献するものと山で死んでいくものとの二つに分かれる。
羽生は「生死」と「なぜ登る?」「山の征服」の葛藤を思い続けていく。

これは日本人だけに見られるものではないですよね。
西洋人だって自然を畏怖し、山に神を感じていただろう。
そこから感じたものを、山を引退しても生活にフィードバックしただろう。
何より普通の生活にない「山に登る」という苦行は、人生の糧になる。
「あんな苦しい思いをクリアしたんだから何でも平気さっ」って。
そして麻薬のように、その苦しさを求めて再び山へ行く。

このようなアニミズム・生物原理は、人間には根付いているから。

何より、「人より優れた成績」や「名声欲」は誰でも持ち、
「人のために生きたい」や「社会貢献したい」は人生目標になる。

「山に登る」
いろいろな要素が習合しているな。

ちょっと考えを改めている若狭坊です。
西洋人、日本人とわける何よりも「人間」という動物ですから。
その感性の中で、母なる「海」と「山」は誰にでも偉大な存在です。

「山を征服する」という単純ストイックな人間は、人種に関わらず僅かな人たち。
たぶん、「初制覇・初登頂」の先にある何かの感得を無意識に目指しているのかも。
そしてそれは多くの要素が習合していて、表面化するものは人それぞれなんだろう。

かみやま

今回、改めてマンガを読んで思ったのでした。
ちょっと今までの考えは短絡的で山伏失格だったかな?・・・と。

だいたい、日本の山伏は凄くて特別で、日本は特別な国で、
西洋や中国・半島の思想がおかしいというあたりで山伏失格になるんだろうな。
最近、そういう思想を前面に出して活躍されている山伏さんもいらっしゃる。

当然、これからは、海のそとから文化を受け入れ、
独自のすばらしい思想を完成させた閉鎖的な国である日本から、
東洋・西洋に新しく国を開いて発信する宗教のチカラは必要です。

もちろんそれは、批判ではなく、「和」を基調とする教えから。
結局、日本であれば宗教各宗派の根本に戻っていくのでしょうが、
いまの神官・僧侶・山伏は真剣に考えて、日本社会・国際社会に貢献というものを考えていかんと。
若狭坊の周りには、寺に生まれた若い世代がたくさんまちづくりに携わっていらっしゃいます。
いい流れですね。
人口減の時代。葬式、祈祷で生計をもっている宗教者は、そのままでは近い将来に破綻します。

歴史上の僧侶や神官はまちづりや産業を担った人たち。
山伏は商いや先進事例、新文化に長けた人たち。
各区にある寺は、まちづくりのリーダーがいるべき場で、法事・葬式だけの場ではない。
山伏はリーダーとして生きるため、寺の僧侶ではなく在家という制度を守ってきた。

宗教法人は、ポリシーをもったNPO法人、生産法人への転換が必要になってきます。
そして、檀家と呼ばれる地元だけでなく、全国から世界へと。
山伏は、山で考えをめぐらし、体力をつけ、自信に満ちて社会貢献しなければ。

「お経を覚えている」より「一緒に考えて俗世で動く」です。

と、マンガから飛躍して考えをめぐらした若狭坊でした(笑)


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プロフィール

若狭坊

Author:若狭坊
1970年生まれ。奈良大学史学科卒業。当時からの専門は中近世考古学、中近世流通史、中近世都市史。
と書くと難しい(^O^)
現在の専門は仲間と行う歴史を活かしたまちづくり。
だが、実は修験にめざめた山伏なのでアール。

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