神仏への祈りと食

小浜には多くのまちづくり団体があります。

小浜のまちづくりのトップは「食」
「御食国若狭おばま」です。

これを担う団体に「御食国若狭倶楽部」というすばらしい団体があります。

その報告機関雑誌『かにかくに』

とても面白い報告や論文・エッセイがあります。
みなさんぜひ読んでください。

  くわしくは ⇒  御食国若狭倶楽部

まもなく最新刊が刊行されます。

若狭坊のエッセイ??を早出ししておきます。


神仏への祈りと食

 御食国と呼ばれた若狭国は、現在でも民俗文化財の宝庫といわれるほど、まち・海辺・中山間地域と、その場所を限らず現代生活に密着した祭り・年中行事を守り伝えている。また、その拠点として栄えた現在の小浜市域は、地方都市としては稀有なほどの社寺に抱かれ、特に日本を代表する初期の神仏習合遺産が伝承する地域として知られている。
 なぜ、これらの遺産が全国でも稀有なほど若狭には伝えられているのか。それは大陸や日本海諸国と奈良・京都を繋ぐ文化交流の拠点であったことが一つ。もうひとつは、御食国として豊かな食材を生む自然への崇拝が、文化の変遷に流されることなく生活に溶け込んで、今に継承されているからに他ならない。
 現代の日本文化では、神仏への祈りは厄払いや先祖供養に大きく傾倒しているものの、そもそもの祈りは自然の中に生き、脅威や恵みをもたらす八百万の神仏に願いをかけるものである。これが、海・山・川に囲まれ、神仏を慈しむ日本人らしい「人と自然との共生」なのだ。高度成長期に忘れられつつあった日本人の根源。今再び、日本人に戻ろうという意識が知らない間に芽生えている。団塊の世代の登山ブームは「神仏」を感得する山への回帰であり、小浜市が進める「食育」には、自然の神仏に感謝する「いただきます」の精神が欠かせない。日本人らしい生活を探すとき、神仏への祈りが必ずどこかにある。
繰り返すが、若狭小浜は全国でも類をみない社寺密集地域である。そして、これらは文化財という単なる建物や場所として残されているだけではなく、地域住民と一体となった信仰空間の一部として、生活と密接に関わりながら残っていることが大きな特徴なのだ。だからこそ民俗文化財の宝庫と言われるほどの年中行事や祭りが伝承されている。まさに日本文化を象徴している地が若狭小浜なのである。
神仏への祈りは自然への祈り。自然がもたらした産物は神仏の前に捧げられる。神仏の前では人々が集まり、それを祈り、祝う中で産物料理をいただく。神仏を祈る行事には、その地域、その季節を代表する食材と料理が必ずある。「神仏をまつる社寺」、「祈りの民俗行事」、「それらを繋ぐ食文化」。これらが一体となり、御食国若狭おばまの文化を特徴づけている。
 小浜市では、継承が危ぶまれる民俗行事の把握と、これらの伝統行事と密接に関わる「食」の調査を、住民・専門家・行政の協働でようやくスタートさせた。海辺で山の神を祀る時、お供え物には「おこぜ」を用いる。女神である山の神が嫉妬しないように。山間部で山の神を祀る宴では、通常の宴で「白和え」を食すのに、この時だけは「青和え」をいただく。野や畑の青物の豊作を祈願して。市街地の祭礼では、親戚に「焼鯖」を配る。安い、旨い、腐りにくいの三拍子が揃っていたから。特に中山間の人々には喜ばれた「おもてなし」だろう。これが小浜と深く繋がる京都に行けば鯖寿司の振る舞いになるし、神饌物にも塩鯖が用いられる。民俗行事と食は面白い。調査は始まったばかり。これほどの祈りの世界を持つ若狭小浜であれば、豊かで貴重な「食文化」が必ず見えてくる。
 御食国、鯖街道というメジャーな歴史事象だけでなく、生活に密着した当たり前の歴史の中に、わが国を代表する食文化が表出し、これが食のまちづくりを進める小浜の無二の存在になってくるだろう。和食が世界遺産や健康管理で注目される今だからこそ。
 食のまちづくりもスタートから十年。その根底には他地域が真似できない深い食の歴史がある。御食国、鯖街道の歴史は、食材を生む地域という浅いものではない。若狭の食材加工技術の歴史でもあり、六次産業化を目指す地方都市の中でも、歴史を背景とした群を抜くブランド力を持つ。小浜の豊かな社寺建造物・民俗行事・食文化は、忘れかけていた日本文化を求める人々との交流による新たな観光まちづくりに繋がる可能性を秘めている。今、日本人が求めているものが小浜の食のまちづくりに眠っている。神仏に感謝。

  (C)若狭坊

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プロフィール

若狭坊

Author:若狭坊
1970年生まれ。奈良大学史学科卒業。当時からの専門は中近世考古学、中近世流通史、中近世都市史。
と書くと難しい(^O^)
現在の専門は仲間と行う歴史を活かしたまちづくり。
だが、実は修験にめざめた山伏なのでアール。

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